三本君の帰りが遅い。ミーティングだから云々などとメールしてくるが、待たされる方の身にもなってみなさいといつも遠回しに伝えようとしているのに全然わかってもらえない。まあ、わかってもらえたらもらえたで、「やっぱりあたしがいない方がいい」とわけのわからない結論を出して暴れるのが目に見えているのでぼくはこうやってブログに愚痴を書き連ねるしかない。
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実は前文に続けて、「もし三本君が二人いて付き合っていたら、絶対、一週間以内に破局すると思う」と書いて、その後延々もし三本君が二人いたらどういう事態になるかということを細かく記したのだが、やはり載せないことにした。かわりにもしぼくが二人いたらどういう事態になるかということを書いてみる。
◆もしぼくが二人いたら――料理編
「夕飯どうする?」
「なんでもいいよ」
「ぼくもなんでもいいよ」
「冷蔵庫に何あったっけ」
「豚肉があるよ」
「じゃあ焼き肉にしよう」
「うん、じゃあぼくが料理するからお皿洗ってよ」
「……」
「ん?」
「なんでぼくが皿洗いなんだ」
「役割分担だよ。ぼくが料理をする。君が皿を洗う」
「料理と皿洗いを並べるな。そんなのみんな料理の方がいいに決まってる」
「そんなことないよ。料理のバイトと皿洗いのバイトだったら、皿洗いの方が楽だから時給も安い。逆に料理は神経も使うし衛生面とかでもケアが大変だから時給も高い」
「頭悪いな。料理は趣味になりえるが、皿洗いは趣味にならない。つまり料理には楽しみがあるけど皿洗いはただの苦痛だ」
「君はセンスがないから皿洗いを苦痛としか感じないんだ。村上春樹なら皿洗いをモチーフに短編を一本書けるよ」
「ぼくは村上春樹じゃない」
「春樹を気取ってくだらない文章を書いてるのはどこの誰だ」
「うるさい」
「なんでそんな怒るんだ。ぼくは皿洗いの楽しさを伝えようとしただけだ」
「じゃあ君が皿洗いをすればいい。ぼくは春樹じゃないから料理をする」
「そうやって皿洗いから逃げ回っていたらいつまでたっても小説書けないぞ」
「もう勝手にしろ。吉野家で食ってくる」
「まあまあ、怒んないでよ。そうだ、今度デートに行こう」
「どこに行く」
「引地台プール」
「……吉野家に行く」
「まあまあまあまあ。じゃあ映画観に行こう。『真夜中の弥次さん喜多さん』」
「うん。いつ行く」
「来週かな」
「絶対だぞ」
「約束する。だから吉野家に行くとか言うな」
「わかった」
なんだかんだでうまくやっていきそうな感じだ。気が向いたら他のシチュエーションでも書いてみよう。